看護師と介護の兼務で倒れるも、復活をとげた食事内容の見直し

ただでさえハードワークで知られる看護師の仕事。もし、介護も兼務するとなったらどうなるでしょうか。

人一倍責任感が強く、また負けず嫌いでもある40代女性が、ついには倒れ、食事の改善で再び復活を遂げたエピソードを紹介します。

* * *

ひと口に看護師と言っても、勤務する場所によって仕事の内容は異なります。私の勤める病院は、療養型の病院です。

療養型病院には、大病された後、寝たきりの状態になった方や、点滴などの医療的ケアを必要とする方が多くいます。

私のケースでは、ほとんどの方が脳血管疾患の発症後のため、手や足の麻痺をともないます。ですから、医療的ケアも重要ですが、それと同時に排泄や入浴、食事の介助といった日常生活行動の介助も必要になってきます。

本来ならば、看護師は医療的ケアを担当して、介護士が介助業務をするという分担になるはずですが、介護士が不足している昨今の現状から、看護師が両方の業務をしています。

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看護師と介護兼務の壮絶なハードワーク

看護師と介護を兼務した仕事がどのようなものかピンとこない方も多いと思います。いくつか具体例をあげてみます。

全身を支える「おむつ交換」

仕事は、体温や血圧の測定や点滴などの医療的ケアをはじめ、記録に至るすべてを立ってします。医療的ケアの合間に、おむつ交換を3回します。一人で患者さんの体の向きを変え、体を支えながらおむつを交換していきます。

中には、股関節が硬くて開脚できない方や、両足を閉じて抵抗する方もいますので、介助者が「よいしょ!」といいながら、全腕力をつかって足を開くこともあります。

また、体位変換といって、床ずれ予防のために患者さんの体の向きをかえることを2時間おきにしています。注入食で栄養を確保している方が多いので、半年間で10㎏以上も体重増加する人が多く、手足が脱力した方や、筋肉が硬直した方もいます。そんな方々の全身を支えるので筋力もかなり使います。

同僚も倒れた夏場の入浴介助

夏場になると、入浴介助は大変です。1回あたり20人程度の寝たきりの方々をお風呂に入れます。一人は頭側、もう一人は足側に立ち、両手を差し出すような体勢で患者さんの体の下に両手を入れます。

「よいしょ!」とかけ声をかけながら、両腕に乗せるようにして持ち上げて、就寝用ベットから入浴用ベットへ移します。入浴がおわると同じように入浴用ベットから就寝用ベットに移し、服を着せます。ぬれているとすべりやすいため、患者さんが滑らないように体をしっかり支えなければなりません。

この作業を3~4人のスタッフで3時間くらいかけてします。これらの動きには瞬発力や持久力も必要になります。夏場は、湿度の高い浴室で体感温度も上がり、発汗もさらにふえます。途中で何度も水分補給をしますが、スタッフが脱水をおこして倒れたこともありました。

スタッフ同士でも、

「1日休んだくらいでは疲労がとれない」

「手足の筋肉痛が治らない」

というようなことも耳にしていましたが、私はまだ大丈夫だと思っていました。

体力自慢の私がついに欠勤

ところが、ある朝起きようとしたところ、力がはいりません。その日は欠勤しました。

「1日休めば大丈夫だろう」

と思っていたところ、翌日も同じ状況です。

ようやく起きて、近くの病院にいきました。

そこで、医者から、

「ちゃんとたべているか?」

「ちゃんと水分とっているか?」

と単純な質問をされ、看護師の私にそんな質問するなんて失礼だと腹が立ちました。結局、過労ということで2週間休業しました。

血液検査もしましたが、その時の血液は少しドロッとした感じがしたので、もう少し水分を取らないといけないのは理解しました。しかし、医者が「食事をちゃんととっているか?」と看護師の私にいうのには何か意味があるのだろうとも考えていました。

「ちゃんと食べているのに、なんでこんなことになったのだろう。2週間休んだ後に、今までと同じ仕事をしたら疲れがひどくならないかな?」

と、私は少々複雑な気持ちでした。

シフト制で不規則な生活なので、体調を安定させて、心身ともに安定した生活を送れるようにしなければなりません。

原因は疲労の蓄積と筋力の低下にあると考えて、インターネットで改善策を調べてみましたが、商用目的の記事が多く参考にできるものは見つけられませんでした。

看護学校の勉強を思い起こす

昔、看護学校の生化学の授業中に、エネルギーの生産過程の「クエン酸回路」のことや、酸素が少ないと乳酸が増加すること、乳酸が増えると筋肉痛が起こると先生が言っていたことを思い出しました。

疲労を予防して筋力を安定させるためには、この乳酸をすばやくとりのぞき、また、多く作らないようにする必要があります。そして、クエン酸回路の働きをスムーズにして素早くエネルギーに作りかえる必要もあります。

酸素を取り込む運動(有酸素運動)をすることで乳酸の増加を抑えながら、エネルギー産生の働きをうながす栄養素を取り込むことが必要だと考えました。

栄養の基礎から食事内容を見直す

栄養素のうち糖質については、有酸素運動によってエネルギー産生をうながすことができます。ビタミンB1を摂取することで代謝をサポートできます。

そして、脂質はビタミンB2、タンパク質はビタミンB6をとることで代謝をうながします。ビタミンB12を摂取すると、脂質とタンパク質の両方のエネルギー産生をうながすことができます。

そこで、前の食事で食べた内容をメモ書きして振り返り、その傾向をふまえてから次の食事のメニューを考えるようにしてみました。

食事内容は外食を含め必ずメモ

例えば、昼食でミートスパゲティーとアイスクリームを食べた場合、脂質と糖質の摂取が多いと考えられるので、夕食にはビタミンB2とB1を多く取り入れたメニューを考えます。

ビタミンB1を多く含む食材は豚肉、たらこ、枝豆、昆布などです。

ビタミンB2はレバーや牛乳、豆類などに多く含みます。メインを豚肉にして、豆類の付け合わせや昆布だしの味噌汁をつけるという感じでしょうか。こんな感じで続けていきます。

細かい作業かもしれませんが、続けることが肝心なので、大まかでいいです。また、外食した場合も覚えている限りでメモをしていきます。外食した翌日に必ず振り返り、いつでもメニューを考えられるようにしておきます。

食事の量はカロリーオーバーにならないように配慮しますが、暴飲暴食でなければ大丈夫です。

水分補給も栄養補給の一環とする

仕事中に水分補給は欠かせませんが、ペットボトルの水にクエン酸小さじ1杯とはちみつを大さじ1杯程度いれて持っていきます。

クエン酸を直接摂取することでクエン酸回路からのエネルギーの産生をうながしますが、はちみつにはビタミンB1やB2が含まれているため、ここからもエネルギーの産生が期待できます。

夏場はペットボトル1本半から2本程度必要ですが、冷やすとさっぱりした味です。炭酸水で試したこともありましたが、飲んだ後の爽快感がよかったです。

こうした対策を始めてから1カ月を過ぎたころから、疲れたときの体のだるさが減っていると実感するようになりました。さらに半年を過ぎると、うれしいことに2.5kgほどやせていました。

気温に対する順応性もよくなり、季節の変わり目ごとに体調を崩すことはなくなりました。現在1年ほど経ちましたが、疲労で欠勤することはなくなりました。

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